→http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4765740404.html
サブタイトルの「いざというときの法律知識ABC」を読めばわかるように、法律の本だ。
読みやすい字体とかわいいイラストから、だいぶ本としては読みやすく、半日ほどで読めた。
内容も大学生、短大生、専門学生向きといえばそのとおりであろう。
ただ、おしいことに既にいくつかの内容が古くなってしまっている(平成14年だから既に6年前)。
こういうのを見ると、法律の本ってつくづく損だな…と思う。読者も、本の発行が古いのであれば、注意して読まなければならないという制約を課せられる。
「本を読むくらいなら、ネットで聞く」というのが、一番正しいスタイルなのだろう。
まぁでもだいたいの部分は今でも通用する内容なので、絵を見て簡単に答えを見る程度でも楽しめるのではないかとは思う。
…しかし、こういう読むのが簡単な本ばかり読んでいて、たまに基本書に戻るとかなり読むスピードが下がる…(--;)。30ページ読むのにどれだけかかってるんだか…。
引き続き「サイコーですか?最高裁!」(著者・長嶺超輝)参照。
憲法79条2項 「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後10年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする」
これが国民審査だ、といってもピンとこないかもしれない。ただ、衆議院議員選挙を経験された方なら経験済みだろうが、通常の衆議院議員に関する投票用紙とは別に、見たこともない人物の名前が並べられ「嫌なら×をして」と書かれた紙を手にしたことがあるかと思う。それが国民審査だ。
国民によって、裁判官を罷免することができるのであるから、民主的な基盤がない最高裁にとって、唯一国民による民主的な統制を受けることになる制度といえる。
しかし、過去にこの制度によって罷免された者はいないし、ぶっちゃけ裁判員制度よりも知られていないというのが現状だろう。
日本の裁判官って基本的に優秀なんですよ。政治家と違って賄賂のような汚職というのがほとんどない。ただ、彼らは民主的な基盤がない分、どこか政治家に対してコンプレックスを抱く反面、国民から距離を置こうとしているのではないか。それを改善するためにも、国民審査制度をしっかりと機能させ、彼らに国民からの信頼があるものと自信をつけさせるとともに、国民に対する責任をもっと自覚させるべきだ。…というのが長嶺さんの主張(だと思う)で、クロスケもそれに同調するわけだ。
この制度にも数億というお金が使われているにも関わらず、有効に利用できないというのは非常に惜しい。もちろん憲法上の制度なので、これを活性化させるには法律改正の他、憲法改正も視野に入れなければならないわけだが、裁判員制度なんていう憲法にない制度を創設するくらいなら、国民審査を活性化させる方がよっぽど司法のためになるんじゃないかな。たとえ49%しか×がつけられていなくても(過半数を超えていないので、罷免はされない)、それを知った裁判官はもっと民意を意識した判断をするようになるはずだし。結局野菜は八百屋だから、お客さんが八百屋を是とするか非とするかでしか、八百屋を評価できないし、八百屋は改善されないんじゃないかと思う。
是非今度の衆議院議員選挙においては、「民主的統制」という観点から国民審査に参加してもらえればと思う。まぁそこまで難しく考えなくても、最高裁の裁判官に少しは興味を持つことは必要かと。制度を知るだけでも十分ですから(笑)。
サイコーですか?最高裁! 著者 長嶺超輝
→http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31996059
「裁判官の爆笑お言葉集」の著者、長嶺さんの書籍です。
今回は一般人にほとんど知られていない三権の一翼を担う「最高裁判所」について取り上げられています。
まぁ…タイトルはアレなんですが、その書かれている内容はやはり素晴らしいと評価せざるをえませんね。
最高裁の建物をドラクエのお城にたとえたり、最高裁の地下に存在するコンビニで買物をするため最高裁の図書館を利用したり、最高裁長官の公邸の前で職務質問を受けたり、とさまざまな事柄について独特のセンスをもって描かれているのがいい味を出しています。
一般の方でも気軽に「最高裁判所」について知ることのできる内容になっています。また、ちょっとした手続法の基礎知識も盛り込まれているので、法学部1、2回生にとって有益な本となるのではないでしょうか(それ以外の方は読み飛ばしても結構かと思いますが)。基本的に興味のある部分だけ読み漁るというのが、著者の意向にも沿った読み方ではないかと考えます。
そして、著者がもっとも強調したかった「国民審査制度の問題点」については、是非一般の方にも理解していただき、次の衆議院議員選挙の際に意識して投票していただきたいですね。
まぁこの点についてはまた明日にでも。
→http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/31918266.html
表紙のかわいさとタイトルの明解さから手にとったが…ちょっとイマイチでした。
一応著作権法の基礎的な知識は土台とされているのですが…いかんせん構成が悪い気がします。基礎的な知識の説明が飛び飛びになっていて、読書の流れが悪くなってしまう感じがしました。
あと、著者の言いたいことは分かるのですが、本に「ガイド」とつけるからには、あまり自分の体験談やら価値観を強調する必要はないのではないかと思います(エッセイ等とは違うところでしょう)。著作権の本なのに、手紙の礼儀についてかかれている点は、明らかに越権な気がします(--;)。
基本的にそれぞれの話がとりとめがない感じがしましたね。もう少し体系立てて説明していただいた方が分かりやすいと思います。基本的な知識補充の部分と実践的な部分を分ける感じで。それかいっそのことQ&A形式にするのもありでしょうね、以前紹介した本のように。
かけ出し裁判官の事件簿 著者 八橋一樹
→http://www.bk1.jp/product/02906326
この本は、新米裁判官の八橋さんが、自身の経験をもとに、裁判官の仕事の概要を伝えることを目的として書かれたものだ(フィクションです)。
基本的に本を読むのが遅いクロスケだが、バイトの休憩時間から読み始めて、とりあえず約一日で読み進めることができた。
正直、裁判官にほとんど興味のない方が読んでも面白くないでしょう(笑)。まぁもちろん裁判員制度を控えた現時点においては、興味のない方でも裁判官についてある程度知っていただいた方が良いとは思いますが。
基本的にはひとつの事件を主軸として物語は展開されるのですが…最初の冒頭手続のあたりとか興味のない人にとっては退屈かもしれません(クロスケも途中で読むのやめようかと思いました(笑))。ただ、証人尋問が始まったあたりからは、多少面白いと感じるようになるのでは、と思います。
もっとも、物語であるとはいっても、この本に「真実」を求めてはいけません。結局裁判官ってのは法廷に上げられた事実からある一定の「結論」を導く場でしかないのですから。最後まで読破される場合はその点に注意して読んでみてください。
あと、裁判官の日常を描くことが主眼なので仕方ない部分もありますが、もっと初心者にも分かるような解説は必要なのではないか、と感じましたね。クロスケは既習者なので気付かなかったかもしれませんが、結構法律の手続を知らない人にとっては「え?これどういうこと?」という概念が多かったのではないか、と思います。
→http://www.bk1.jp/product/02738695
3日でわかるのなら、法律の勉強は苦労しないのだが(笑)。
さらにこの著者、「失礼な表現かも知れませんが、平均以上の高校生が理解できるように書き進めました。」とはじめ書きでたんかを切っている(--;)。
一応破産法の単位をもらっており、既習者であるわけだが、2日(どうだろ?14時間程かな?)使って読んでみた。
結論:平均以上の高校生では理解できません( ̄へ ̄;)。
そもそも、倒産法という民法、民事訴訟法、民事執行法等の下地がなければ理解できない学問を、何の前提もない人間に理解させることは不可能です。まぁおおまかな倒産法の流れは分かるかもしれませんが、この本に書かれている内容はハウトゥー本の域を超えてますね(条文引用から要件、効果の点まで実に丁寧に説明されています)。
正確には、「大学で民事系科目を一通り勉強した学生が、平均以上の高校生の立場に立って、理解することのできる本」といえるのではないでしょうか。
とはいえ、上記の対象者にとっては非常に勉強になる本かと思います。2日かかったとあるように、実際既習者のクロスケでも知識が抜け落ちていたり、知らなかったりした条文も紹介されていたので、それなりに勉強にはなりました(逆にいえば、そこまで細かい条文の紹介がいるのか?という点では初心者向けとは言い難いわけですが)。
小説で読む民事訴訟法 基礎からわかる民事訴訟法の手引き 著者 木山 泰嗣
→http://www.bk1.jp/product/02983699
小説といいながらも、後ろに「索引」がついている点でやはり勉強用の本という感じもする(笑)。
とはいえ、内容は基本的に素人の方が読んでも通読できるほど分かりやすく、読みやすいものになっている。
ただ、そうはいってもやはり一度民事訴訟法を勉強して挫折気味になっている人が読んでみるというのが一番適切ではなかろうか。
小説としては、主人公である大学生の充実した学生生活が描かれている感じであろうか。法律の議論のできる友達との会話、彼女との交際、法律事務所でのバイト(弁護士の先生からのレクチャー)…だいたいこの三つがそろっているだけで、司法試験受験生としてはこれ以上望むものはないでしょう。まぁ実際問題ここまで充実した生活を送ることのできる大学生は珍しいですけどね。あくまで「小説」ですな(--;)
→http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31580072
こういう初心者向けの本においては、なかなかに良くできた本ではないかと思う。もっとも、概してこういう本を14歳は読まないのだが(笑)。
まぁ子どもを持つ親や、一通り民法、刑法を勉強した法学部生なんかが読めば、良い勉強(復習)になるのではないかと思う。
日常の法律問題を提起して、それについて答えるというもの。
初心者にも分かるように砕けた言葉で説明しつつも、法律学としてしっかりおさえなければならないところは押さえている部分に、著者の工夫が見られ、非常に印象がいい。条文が参照されているが、いちいち条文の文言解釈がされていないところも一線を越えていない感じでよい(もっとも法律を学ぶ者としてはその辺も触れてもらいたいのは当然だが、逆にいえば既修者としては条文が並べてあるだけで知識の確認としては十分といえる)。
参考文献に挙がっているのは、司法試験の受験用としてあがる参考書、予備校本の類が並べられていた。とはいえ、これらが直接引用されることはなく、あくまでそれが分かる人には分かるように感じさせる程度であるところがニクイね。
専門的な法律用語を使わず、しかも一定の知識を得られるように工夫されている点は非常に素晴らしい。
少し法律に興味がある人には読んでもらいたい一冊かと。
最初に結論。クロスケはこの本をオススメしません(笑)。
まぁこういう見解もあるんだよ、という気持ちで読むのならかまいませんが。
長くなってしまったので、興味ない方は最後の段落だけ読んでくだされば(^_^;)。
この著者の主張は次のようなものだと思う。
「裁判所の行う判決には、一般論や蛇足を含むものがある。これは司法権の越権行為であり、違法である。このような越権行為を放置することは人権侵害にあたる。」
「たとえば、靖国神社参拝に関する事件において、本来述べなくてもよい憲法問題について触れ、国民に対し「国の行為は違憲である」とわざわざ提示することで、国家権力を振りかざしている。国民もそれをまた鵜呑みにしており、どこか裁判所を神聖化している部分がある。今こそ司法の違法について、主権者としての国民が怒りをぶつけるときである」
以上のような主張を国民に知らしめることを本の主軸としている。
確かに文章自体は法律家でなくても読めるように非常に砕けてかかれてあり、一般の方が読んでも苦痛を感じにくいものとなっている。
ただ、それだけにこの本に含まれている暴走を、読者が鵜呑みにしてしまうことには問題があると思った。
もっと著者の主張を要約すれば、「判決で余計なことは述べるな、判決は国家権力の行使なんだから、権限を越えるな」というものである。
しかし、それで本当に国民が納得するのだろうか。
靖国問題にしても、本来原告が争いたいのはまさに憲法問題であるにもかかわらず、それについて触れずに「いや、権限外ですから」と突っぱねる裁判所に、誰が信頼を寄せるのだろう?
また、こういった問題に対し、憲法的判断を下しうる立場にある人間は他にいるのだろうか?
確かに、憲法裁判所(憲法問題について判断をくだす裁判所)のない日本の裁判所においては、抽象的に憲法問題だけを取り上げるわけにはいかないだろう。
でも、それが何らかの形で個別の事件として争われるのであれば、その限りで憲法判断をすることもまた、裁判所の責務であるということに何の問題があるのだろうか。
違憲とされながらもそれについて上訴できないという国側の不利益はあるが、それは結局上訴制度の問題であって、違憲審査権の行使自体を否定する理由にはならないだろう。
理論的に言えば著者のいうことにも筋が通っているのだろう。しかし、形式論理では納得いかない部分を実質論に照らして正当化できないか模索するのが法律家なのだから、単にその形式論理を突き通そうとする姿勢には違和感がある。
実際裁判所が越権行為をやっていると聞いても、むしろ国会、政府の方が越権行為をやっていると感じる人の方が多いと思う。国会、政府の行為に越権行為があると裁判所が感じるのであれば、著者のいういわゆる一般論や蛇足判決をしたとしても(もちろん憲法裁判所ではないのだから、事件に関係する範囲に限られるであろうが)、むしろ三権分立を維持するためには必要な行為ではないかと思う。
初回を記念して今回は2冊です(笑)。
どちらも共通するテーマとしては「個人情報、著作権と騒がれることで、必要以上の反応を示していないか」ということです。
場合によっては、本来の法律の趣旨に反するような運用がされているのではないか、というのが両者の主張で、もっと個人情報保護法、あるいは著作権法について知って、適切な運用を心がけようというのが両者の目的ではないかと思います。
とはいえ、本をもう返してしまったので、若干うろおぼえの感想です(笑)。
左の個人情報保護法の本(やりすぎが会社を滅ぼす!間違いだらけの個人情報保護 著者牧野二郎)。会社、学校等にまつわる個人情報の取扱いについて一問一答方式で書かれています。特にいうほど法律に力点を置いた書き方をしていなかったので、一般の方でも読みやすいかもしれません。
ただ、言うほど個人情報保護って興味沸かないかもしれませんね(企業側、学校側(つまり個人情報を管理する側)の立場にある人からすればまだ興味はあるかもしれませんが。
とはいえ、一般の方にも利害のあることですから、少しは読んでみてもよいかもしれませんね。漫画家としての蛭子さんを見ることのできる貴重な一冊でもあります(笑)。
右の著作権法の本(先生のための「著作権」入門の入門 著者尾崎茂)
。こちらも一問一答方式で書かれています。それも1ページに一問一答なので、レイアウト、文章の分量としては、著作権法を知らない人でも理解できる内容になっているかと思います。
ただ、そうは言っても著作権法を知らないと分かりにくいところはあるかな…という気もします。最初十数ページで簡単な著作権法のまとめが書かれていますが…眠たくなるなら読まない方がいいかも(笑)。
一問一答をさらっと読み流す程度がベターかと。
あと、著者が弁護士等の専門家ではないのが少し気になりましたね。まぁいろんな本の編集に携わってはった出版社の方で、著作権法と無縁というわけではないし、内容もしっかり条文使って解説してあったので、そこは言うほど問題ではないかも。
…さすがに二冊まとめると長い…(--;)