土曜ドラマ「ジャッジⅡ」
つくづくⅠも見ていれば良かったと思う今日このごろ(笑)。
結構どの回も楽しんで見させていただいています。…なのに、次で最終回みたいです(´д`;)。Ⅲやらないかな…(気が早い、最終回の展開次第かな?)。
※ネタばれ含みます。
第4回は有名な最高裁の平成7年7月5日決定を題材にしたものでした。知る人ぞ知る民法900条4号但書の合憲性を扱った判例です。結論として判例は、民法900条4号但書は憲法に反しないとしました。
第1回で判例そのままの判旨が出てきて最高裁の検討の深みを示唆しつつも、一方で今回において判例に反対し違憲の結論を持ってくるあたりは、「最高裁の判断は深い検討に基づくものではあるが、それを鵜呑みにすべきではない」ということを非常にうまく表現していて、感心しました。
ご存知の方もいるかもしれませんが、下級審の裁判官が最高裁の結論に逆らうことは、ズバリ出世に響くことで、敬遠される傾向にあります。もちろん高裁で結論がひっくり返れば、当事者にも迷惑がかかることです。
それでも、「裁判官は個別の事件に注目し、その事件についての解決を出さなければならない」という主人公の主張は、単に最高裁の結論だからという理由で事件自体を見ようとしない裁判官(いれば、の話ですが)に是非聞いていただきたいですね(いや、まぁ何でもかんでも逆らっていいというわけではないですが)。
今回の非嫡出子の相続分の問題は、非常に微妙なものです。
最高裁が論拠とするのは、「民法900条が遺言による相続分の指定等がない場合の補充的機能を果たすにすぎないこと」「法律婚主義と非嫡出子の保護の調整の観点からすれば合理的であること」にありますが、前者は補充的な規定だからといって相続分を違えていい理由にはならないし、後者の法律婚主義については配偶者と内縁の妻との法律上の扱いの違いの説明にはなるかもしれませんが、相続分そのものの説明として十分かと言われると疑問も残りますね。
難しいことをつらつら言いましたが、詰まるところ「生まれてくる子どもには罪はないのだから、嫡出子か非嫡出子で相続分を異にするのは妥当ではない」ということでしょう。ドラマではその点をうまくまとめてありました、さすがですね。
今回のタイトルは「二人」だったのですが、当事者である二人の相続人(もっとも、逆にこの辺はあまり描かれなかったのですが)だけでなく、主人公である裁判官とその親友である裁判官、二人の司法修習生、研修所時代からの顔なじみの二人の弁護士、の話を1時間の間にうまい具合に整理して盛り込んでありました。この辺も見所でしたね。