手紙 著・東野圭吾 以下ネタばれも含むので注意
物語は、受刑者の親族(弟)の心理描写を軸に描かれていた。ふとすれば、加害者、被害者、被害者の親族にまで目が行く人は多いとしても、加害者の親族にまで目が届くという人は少ないのではないか。そういう意味で、この本は人の視野を広げることに役立つ一冊といえよう。
一言で感想を表すとすれば…非常にせつないす(笑)。もちろん罪を犯した者は罰を受けなければならない。でもその一方で、罪を犯した者の更正を目指すというのも、刑法に課せられた使命のはずだ。でも、この本の行き着く先は、どうもそういったところには向いていないのではないか。そういう意味で、非常にドライな人間ドラマを見た思いはした。見方によってはハッピーエンドにも見えるのかもしれないが、クロはこれはハッピーエンドではないと思いますね。
ただ、主人公の境遇に同情しつつも、一方で、どこか彼の恵まれた才能・容姿が結果的に強調されるものとなっているのは残念かな…。ここがもう少し彼の努力や優しさからにじみ出るものであれば、もう少し主人公に共感もできたと思うのですが。
でも、総じて色々と考えさせられる作品です。そういう意味では、クロはまんまと作者の術中にはまってしまったのかもしれません
(^_^;)。
P.S あと、この作品映画化されているようなのですが…ヒロインの白石由実子役が沢尻エリカ…。いや、彼女の演技力は見たことないのですが、一般的にマスコミで取り上げられている彼女のイメージと由実子のイメージが全然一致しないのですが…(--;)。そこを一致させてこそ、真の女優なのでしょうか。
ただ、由実子は関西弁なので、おそらく関西に住んだことのない彼女に関西弁が話せていたのか、やや心配です。何の心配してんだ(笑)。
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